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 今夜はすこし、女の子のようすがヘンだとレイは思いました。  おまつりの最中に、親とはぐれたのに気づいたみたいに立ちすくんで、女の子は涙を流します。  大きな瞳をぬらしてあふれたものが、地面に落ちたら、見覚えのあるきらきらしたものになっていました。  レイは思いいたります。  きらきらしたものは涙なのだと。  人びとはたくさんの涙を流して生きているのだと。  月の裏側が悲しみでいっぱいになるのも納得できました。
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