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【01】
部屋の中を、
カーテン越しに朝日が照らしている。
木戸利一[きど りいち]が
目を覚ましたのはそんな朝だった。
利一は伸びをしながら
時計を見て苦笑する。
今の時刻が午前10時だからだ。
祝日により学校が休みなので
問題は無いのだが、
かなり遅い時間である。
「平日だったら、
もう二時限目に突入してるな」
利一は自嘲気味に笑った。
そんな事をしたら、
自分の担任である
東海林[とうかいりん]先生から
大目玉を喰らうだろう。
ケータイを起動しながらテレビを点けると、
祝日特有の特別娯楽番組をやっていた。
今は、お笑い芸人のレポーターが
ちまたで有名な食品を食べて
「うまい」だの「最高」だの騒いでいる。
いわゆる『食レポ』だ。
利一はこういう番組が嫌いだった。
大抵ココに出てくる食品が
ものすごく高いからだ。
ゲンコツ程度の大きさの料理が
2,000円も掛かるなど、
馬鹿げた値段が付けられている事が多い。
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