chapter.0

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「えー! 絶対そんな事無いって。 利一の思い違いじゃないの?」 「そうだったら どんなに良かったかね」 「むしろ、美紗ちゃんは 利一の事が好きだったと思うよ?」 「良くてもお前の次くらいだよ」 これを見て分かる様に 彼は、超がつく程の鈍感男なのだ。 彼により何人の女の子が泣いたのか、 考えただけで切ない。 「逆に、 利一は何でそう言い切れるの?」 「バレンタインデーに “LOVE”ってでっかく書かれたチョコもらって そう言ってるのはお前くらいだよ」 これを大胆にも行ったのは 件[くだん]の美紗だ。 利一は彼女の事を思い出す。 南美紗[みなみ みさ] ショートヘアーに ピンクのカチューシャを付けた 美紗はかなり明るい娘だった。 利一は美紗と仲が良く いつしかそんな彼女に恋心を抱いていた。 しかし、利一はある日気づく。 美紗は自分ではなく、 同じく仲の良かった猪名川を見ている事に。 そして、利一は潔く身を引いた。 告白せずに終わったのである。 …「小鳩さんと一緒だな」とか言わないでくれ。
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