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「えー!
絶対そんな事無いって。
利一の思い違いじゃないの?」
「そうだったら
どんなに良かったかね」
「むしろ、美紗ちゃんは
利一の事が好きだったと思うよ?」
「良くてもお前の次くらいだよ」
これを見て分かる様に
彼は、超がつく程の鈍感男なのだ。
彼により何人の女の子が泣いたのか、
考えただけで切ない。
「逆に、
利一は何でそう言い切れるの?」
「バレンタインデーに
“LOVE”ってでっかく書かれたチョコもらって
そう言ってるのはお前くらいだよ」
これを大胆にも行ったのは
件[くだん]の美紗だ。
利一は彼女の事を思い出す。
南美紗[みなみ みさ]
ショートヘアーに
ピンクのカチューシャを付けた
美紗はかなり明るい娘だった。
利一は美紗と仲が良く
いつしかそんな彼女に恋心を抱いていた。
しかし、利一はある日気づく。
美紗は自分ではなく、
同じく仲の良かった猪名川を見ている事に。
そして、利一は潔く身を引いた。
告白せずに終わったのである。
…「小鳩さんと一緒だな」とか言わないでくれ。
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