1 見知らぬ部屋

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ゴッ―― 大きな音を聞いて、恐る恐る目を開けた真斗の前には、つま先があった。 隣の女性のものだった。 台の上からゾンビを蹴り倒したようだ。 170㎝程で20歳くらいの彼女が、台から降りると、 セミロングの黒髪が揺れた。 「大丈夫?」と微笑みながら言う彼女が可愛くて、 真斗は一瞬ドキッとする。 彼女は、その綺麗な容姿に相反した強い瞳で、死んだ中年の男を見ている。 真斗は床に飛び散っている血液だけでも怖かったので、男の死体を直視できなかった。 状況を全く理解できない真斗が震えた口を開くと、 彼女が先に声を出した。 「ここは…どこ?…何も思い出せない…」 彼女も記憶がないようだった。 しかし、その表情からはあまり恐怖や不安は感じられなかった。
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