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まあ、予想通りだったから驚きは無い
だが、あの時俺がこの少女の存在に気づいていなかったとはいえ、この少女の全てを奪った事に変わりは無い
全て、俺のせいだ
「だが、断る。
お前が俺を殺そうとする理由は理解した。全面的に俺が悪いのも理解した。だが俺は、『そんな理由で素直に命を差し出すほどまともじゃない』」
そう。俺は他人の為に自分の命を犠牲にするほど、『俺が憧れた主人公』じゃない
「来いよ。お前の恨み、痛み、全てをぶつけてこい。俺はその上で、のうのうと生き続けてやる」
俺の言葉を聞いた少女は、少し目を伏せ
「そう。あんなことする人だもの、素直に死んではくれないわよね──なら」
直後
「力ずくで殺す!!」
全方位から、黒紫色の風が俺を包み込んだ
触れるだけで対象を侵蝕し、狂わせ、壊す、狂化の風
「無駄だ」
俺が左手を横に払う。それだけで、狂化の風が消滅した
「元々『狂化』は俺の力だぜ?それで俺が殺せる訳ねえだろ」
「うん、知ってるよ。だから」
ズプッ、と。俺の左手から、侵蝕が始まる
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