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靴下の中のペディキュア
「お兄ぃ、AK47のチケット取って送って」
「知るか、自分で取れ」
「じゃあショップ行って、何か買って送って」
「いくか!ボケ。死ね」
こんな捨て台詞を残してオレは東京へ旅立った。大学に行くのだ。
入学式が終わって講堂を出ると、キャンパスには新入生ではない学生があふれていた。
あちこち折りたたみのテーブルを並べて、迷子みたいにウロウロしている新入生を、刑事みたいにテキパキ連行している。
サークルの勧誘だ。
大学に入ったら一生懸命に遊んでやろうと、それだけを楽しみに受験勉強に励んできたが、
別に何をしようという具体的な計画はなかった。サークルなんて考えてなかった。
しかし、知らない土地で、友達もなく一人では遊べない。まずは仲間を作らねば。なんかやろう。
どうせやるならかっこいいのがいい。
サーフィンはかっこいい。
スキーも悪くない。
夏はサーフィン、冬はスキーというのが大学生らしいか。
しかし、どれくらい金が掛かるのだろう。
いずれにしても、うちの貧しい仕送りじゃあ、断食したって足りない。
ぶらぶら見て回っていると、テニスのラケットで、こっちへおいでと呼ぶ人がいたのでついて行った
テニスなら何とかなりそうだ、と思ったが、それでついて行ったのではない。
美人に呼ばれたからだ。
テニスの格好はしていない。長いストレートの髪を背中にたらし、
何とか言う下着みたいな短いワンピースを着て、踏まれたら靴に穴があきそうな細いかかとのハイヒールを履いている。
こんな人は田舎の高校にはいなかった。
テーブルの前のパイプ椅子に座らされて説明を聞いた。
説明をしたのは美人ではなく、ピアスをした日焼け男だった。こんなのも高校にはいなかった。
アルバムをパラパラめくって、
「これは新入生歓迎コンパ、これは新入生歓迎合宿、これは花見、どこだこれは、上野?上野だって。
それでこっちがバーベキュー、これは海水浴、ハワイ、の対岸。ハハ、鎌倉だよ」
テニスには熱心でないらしい。望むところだ。
しかし待てよ。テニスサークルでこれだから、何をやるにしても相当の出費は覚悟しておかなければなるまい。
仕送りだけでは飲み会に行くのも大変だ。
それで、金がナイと言うと、部員は優に二百を超えるが、「ときどき出るらしい」という噂だけの幽霊部員や、
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