第1章

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飲み会だけ出る宴会部員、忘れたころにやってくる地震部員などが大多数で、好きなときだけ参加すればよろしい のだそうだ。  とはいえ、一生懸命遊ぶのが目的だから、それじゃあしょうがない、やっぱり金が要る。  バイトは皆やっているのかきくと、バイトすると遊べなくなるし、はまって留年する奴がいる、とピアスが言った。  止めておけというのである。  しかしピアスは、バイトしなくても遊んでいられる恵まれた家庭の人だそうで、 「お前だけだ、全然働かないのは」と、皆にとっちめられていた。   すると横から美人が、家庭教師がいいと教えてくれた。  仲介するところがあって、登録しておけば適当なのを紹介してくれるのだそうだ。自分もやっているという。 聞くと大変時給がいい。それに家庭教師なら拘束時間が短い。  しかし、隣で聞いていたメガネが首をひねって「どうかな」と水を注した。  一流大学ならともかく、うちぐらいじゃあ女はあっても、男の口はなかなか有るまいと言うのだ。  なるほどそうかもしれない。オレも女に教えてもらいたい。親も女の方が安心だろう。  でも、金が掛かるわけじゃなし、登録だけでもしておけばいいだろうということで、美人の先輩が問い合わせて くれて、登録は難なく済んでしまった。あとは履歴書を郵送すれば完了だ。  来る者は幽霊も拒まずの方針だそうなので、気軽にサークルにも登録しておいた。  さて、家庭教師の登録はしたが、これはただ釣り糸を垂れているようなもので、いつの事になるやら甚だ心もとない。 もしかすると、一匹の魚もいない生簀に糸をたらしているようなものかもしれない。いても餌が貧弱で見向きもされない かもしれない。  他も当たっておこう情報誌を買って研究していると、意外にもすぐに当たりがあった。 「高三だがどうか」と言ってきた。  無論高三が一番高度な教育をさずけねばならず、責任も重大だが、直近の経験が生かせるのだから、むしろやり易い。  よろしく頼むと、面接の段取りをすると言って電話が切れた。すぐまた掛かってきて、明日1700時にX線Y駅の 前のレストランZに間違いなく行けという指令だ。先方の名は椿。  中学に、椿という乱暴な剣道の先生がいたことを思い出して、怖いと思った。     面接だし、レストランなんて言うから構えていったらファミレスだった。
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