第一章 From Shadow

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「やだ」 「7組」 「は?」 何? 「誕生日は8月4日。獅子座。意外にA型。それから………」 「ちょっと、待って。さっきから何なの!?貴方の情報なんて聞いてない!」 意味がわからない。 調子が狂う。ペースが掴まれている感じで嫌だ。 そもそも橘勝なんかに関わりたくない。 こんなすぐにキスしようとして来る男になんか。 絶対に嫌だ。 「1組、ここだよな?またな、怜」 彼は何も聞かず、私の頭に手を置き、そして、去っていく。 まるでそれは、嵐のようで。 荒々しく自分勝手で、ポツンと私だけがこの場に残された。 「橘 勝!」 勝手すぎる。だから、私も彼の心に何か、少しでも残したくなった。 関わりたくないと、あんなにも思ったのに。 悔しい。だけど、このまま私だけがぐちゃぐちゃにかき回されるのは、もっと嫌。 「あんたなんか大嫌い!この世で一番嫌い!」 私はそれだけ言い残して、教室の中に入った。 「高ノ宮、何かあったのか?」 私のクラスで授業をしている教師が私に言う。 「何もありません」 そして、私は窓側一番後ろの席に座った。 そうよ。何もなかった。 本当に、何もなかった。 なんでもなかった。 いつも通りの日常。 今日もまた、私は授業を流して、窓の外を眺める。
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