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「やだ」
「7組」
「は?」
何?
「誕生日は8月4日。獅子座。意外にA型。それから………」
「ちょっと、待って。さっきから何なの!?貴方の情報なんて聞いてない!」
意味がわからない。
調子が狂う。ペースが掴まれている感じで嫌だ。
そもそも橘勝なんかに関わりたくない。
こんなすぐにキスしようとして来る男になんか。
絶対に嫌だ。
「1組、ここだよな?またな、怜」
彼は何も聞かず、私の頭に手を置き、そして、去っていく。
まるでそれは、嵐のようで。
荒々しく自分勝手で、ポツンと私だけがこの場に残された。
「橘 勝!」
勝手すぎる。だから、私も彼の心に何か、少しでも残したくなった。
関わりたくないと、あんなにも思ったのに。
悔しい。だけど、このまま私だけがぐちゃぐちゃにかき回されるのは、もっと嫌。
「あんたなんか大嫌い!この世で一番嫌い!」
私はそれだけ言い残して、教室の中に入った。
「高ノ宮、何かあったのか?」
私のクラスで授業をしている教師が私に言う。
「何もありません」
そして、私は窓側一番後ろの席に座った。
そうよ。何もなかった。
本当に、何もなかった。
なんでもなかった。
いつも通りの日常。
今日もまた、私は授業を流して、窓の外を眺める。
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