【Diary】

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『12月7日 呼び出しなし。 それどころか、学校で目も合わなかった。 勝手にキスしたから怒ってる? 奈々が気になるのに、俺は里英の彼氏。 キスされそうになったから、避けた。 なんでつきあっていなきゃいけない? 俺がいつか、俺じゃなくなるときがくるから? 俺じゃなくなっても、奈々を好きでいたい』 『12月8日 元に戻るってなんだろう? 前の俺に戻るって、今の俺の気持ちも消えるってこと? だから奈々は泣く? 消えない。消させない。 だから笑って。 奈々がしてほしいこと、なんでもするから。 思っていても、今日も会えないで携帯見てるだけ。 俺からメールしたい。 声が聞きたい』 俺の携帯、事故でボロボロになったんだっけ。 まぁ、あっても奈々のメール、奈々の呼び出しなんて、場所と時間しか書いてないよな。 そういうやつだし。 けど、こいつはそういうやつがだーい好きで。 俺の里英を傷つけまくってくれていたわけだ? まぁ…、でも、奈々といるのは楽しい。 気兼ねするものなんにもなくて。 奈々も素で俺に接してくるし。 なんで…つきあわなかったって、そういう目で見たことないから…。 『12月9日 里英にいつもの帰り道、奈々と何かあったか聞かれた。 迷ったけど、奈々が言っていいとも言ってないし、言わなかった。 前の俺は兄弟みたいに奈々と仲がよかったらしい。 できることなら俺だってそうなりたい。 毎日、普通に学校でも話して、奈々が笑ってくれて。 俺の理想だ。 里英に前の俺と奈々のことたくさん聞いた。 おまえがうらやましくなった。 その記憶、取り戻したい。 そうしたら、奈々ばっか好きで、会いたいって強く思う、なんかせつないこの気持ちも和らいでくれるかもしれない』 読めば読むほど、恋愛日記。 こいつの気持ちが俺の中に蘇ってきて、俺はノートを閉じる。 これ以上読むと、奈々のこと、好きになりそうで。 こいつは俺で、俺はこいつで。 その気持ちは確かに俺が抱いたもの。 そう思うから、読みたくなくなった。 俺には里英っていうかわいい彼女がいる。 だけど、俺の胸は痛み、口からは溜め息がこぼれる。 俺は……、どうしたい?
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