【Diary】

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俺は俺として、あいつではなく、俺の恋愛として奈々を見ることから始める。 3年になって、俺は部活の毎日へと戻った。 胸の事故の傷跡もマシになったし。 下半身を鍛えろとあいつに指摘されたおかげで、少しは上達したと、自分を誉めてやる。 奈々とも里英とも違うクラス。 里英は廊下ですれ違うたびに俺を睨んでくる。 俺は何も言わずに、それを黙って受け止めるしかない。 里英と奈々の友情も、俺のせいで壊れたようなものだし。 俺は自分の部屋で、あいつの日記を読み返す。 少し封印するように、机の引き出しを開けて放り込んで。 引き出しを閉めようとした俺の目に、そこに転がる銀色のデザインリングを見つけた。 こんなものを買った記憶がない。 手にとってみると、それは女物ってくらいのサイズで、薄い青の石がついている。 思い当たったのは、あいつが奈々にあげようとしていたクリスマスプレゼントだ。 包装がとかれてはいるし、ケースにも入れられていないけど、他に記憶がない。 俺は少し考えて、今から俺の家まですぐにこいと奈々にメールしてやった。 あいつは奈々の奴隷でも、俺は奈々の奴隷じゃない。 どちらかといえば、こういう一方的な呼び出しは俺がしていたこと。 奈々からは断るメールも、返事もなく。 しばらくすると、俺の家のチャイムが鳴らされた。 出ようとする母親を止めて、俺がその玄関を開ける。 俺の顔を見ると、奈々は膨れて俺を睨むように見てくる。 「まぁ、入れ」 「……お邪魔します」 奈々の額には青筋だ。 嫌なら来なければいいのに、ちゃんとくる。 「あら、奈々ちゃん、いらっしゃい」 「お邪魔します」 奈々は俺の母親と普通に話して。 「なんか飲み物、部屋まで配達よろしく」 俺は階段を上りながら、親に言って。 奈々は俺についてくる。 部屋に入ると、俺は奈々をそこに座らせて、その膝の上にあの日記を投げて渡してやる。 「なに?これ」 「読めばわかる」 俺は詳しい説明は一つもすることなく言ってやり、奈々はそのページを開いた。
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