【True blue】

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千夏を抱いたのは初めてのワンマンライブのあと。 ライブハウスはこのキャパではいくらファンが増えているといっても無理だろと思えるような広さで。 それが満員御礼状態。 もちろん儲けた。 ライブをして稼げるなんて、高校生のくせにプロみたいで。 大成功の立役者になった千夏にメンバーがご褒美として俺を差し出しやがった。 なんてことないデートして。 とはいっても、いつものような俺と千夏の関係。 金もあるし、なんでも千夏の言うことを聞けとメンバーに資金を持たされて送り出されたけど。 千夏は別に金のかかることを求めない。 「ねーねーハルちゃん、あれなに?お城?」 遠くに見えるラブホを見て馬鹿なことを言ってる。 「…入ってみるか?」 デートっていってもすることもないし、軽く聞くと千夏は目を輝かせて喜んだ。 他の男にこんなふうに騙されるんじゃないかと思ったりする。 ラブホに入ってゲームとカラオケ。 なぜかピアノがあるような豪華なところで、千夏はピアノを弾いてみせてくれる。 「おまえが作詞作曲したら歌ってやるよ?」 「本当っ?やるやるっ。ハルちゃんに歌ってもらう歌、がんばってつくる」 馬鹿で単純なそんなところがかわいい。 千夏が作曲している間に広いベッドでうたた寝して。 起こされた気がして目を開けると、千夏にキスされていた。 その唇、気持ちよくて。 千夏の頭の後ろに手を当てて、キスを続けた。 そのまま千夏とセックス。 千夏の初めてをなんか豪華なラブホでいただいたけど、別につきあったわけじゃない。 それでもそれからたまにキスはしてやるようになった。 セックスは…なんか俺の気が咎めてできなかった。 嫌われそうで。 嫌われたらずっと続けたいものをなくしそうで。 千夏がいなくなることなんて考えたくなかった。 千夏はバンドのメンバーだった。 ステージに一緒に立つことはなくても、ライブには必ずきていたし、俺が言ったように作詞作曲して、俺がそれを歌った。 打ち込みに使ったピアノの音は千夏が弾いた。 女言葉で女の気持ちを歌ったその歌もファンには好評だった。
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