【Diary】

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『11月30日 昨日のこと、夢だったかのように、奈々はいつも通りだ。 里英と話していて、近くにいても何も変わらない。 なんか不満。 いろんなことが不満。 奈々が他の男と話していたら嫉妬してる。 俺が里英といることは、奈々の嫉妬にもならない? 声をかけるなっていうなら、俺に声をかけて。 聞きたいことがありすぎる』 『12月1日 里英とデートした。 奈々がそうしろって言うから。 奈々がどうしたいのかわからない。 俺をドレイにしたいって言ったのは、俺にセックスを望んだのは何? 里英にキスしてって言われた。 キスした。 でも俺は里英のドレイじゃない。 奈々が里英の望むことをしろって言うからしただけ。 なに?このいじめ。 なんで俺は里英の彼氏やってんの? 奈々とデートしたい。 なんで奈々はそれを望んでくれない? 俺がおまえじゃないから?』 …なに…、これ。 一回しただけのくせに、俺が奈々にハマってる。 いや、これは俺じゃない。 あっちが俺をおまえというなら、日記を書いたのは「こいつ」だ。 こいつ、平気で奴隷って、なに考えてんだか。 しかも俺の里英にキスしておいて、奈々のことばっか書きやがって。 部屋が暗くなってきて、電気をつけた。 俺はひたすら、そのノートを読み続ける。 俺ではない、それでも俺の日記。 『12月2日 夜、奈々に呼び出された。 俺は聞きたいこと、いっぱいあったはずなのに、奈々に抱きしめられたら、どうでもよくなった。 俺は奈々に喜んでもらいたい。 笑ってほしい。 でも笑ってくれない。 キスしたいのに、キスしてとも望んでくれない。 抱きしめてくるから、抱きしめかえす。 奈々を抱きしめていると落ち着く。 きっと、そこが俺の居場所なんだ。 おまえにはやらない。 たとえ奈々がおまえを望んでいても。 ここは俺がみつけた俺の場所』 ……って、こいつは俺だろっ? 里英とのことにヒビ入れてないから、今も里英が俺のそばにいるんだろうけど…。 なに?浮気? …じゃないか。 これは俺であって、俺ではない。 本気だ。 俺にはわかる。 居場所…探してたんだな。 けどっ、こいつのせいで、今の俺が奈々とどうすればいいのかわからなくなってるんだっ。
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