【Diary】

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『12月3日 今日は呼び出されなかった。 毎日、会っていたいのに。 学校では声をかけるなって、それ、やっぱりいじめだろ? 俺は奈々の奴隷。 彼氏にしてくれないかな。 里英と別れろって言ってくれればいいのに』 『12月4日 呼び出し、またなし。 奈々とキスしたい。 奈々とセックスしたい。 話せるだけでもいい。 奈々に嫉妬してもらいたくて、奈々の前で里英といちゃついてみた。 笑ってた。 俺のほうが虚しくなった。 なんでおまえは奈々とつきあってなかった? おまえが奈々とつきあっていたら、俺は里英の奴隷だったのかな? つまらない。 里英は俺に気をつかいすぎる。 里英の奴隷は絶対にない』 つまらないって、俺の彼女を…。 というか、奴隷に簡単に成り下がるなっ。 奈々が俺の奴隷だっ。 『12月5日 呼び出しあり。 家で飯食べていたから、急ぎすぎて車に轢かれそうになった。 どうやら俺はドジらしい。 今の俺がいるのは、そのかっこ悪いドジのせいだ。 おかげで笑い者だった。 今日は奈々をいただきました。 かわいかった。 けど奈々は俯く。笑ってくれない。 前の俺がどうだって、今の俺は奈々がいい。 奈々は?今の俺が好き? 前の俺がいいなら、奈々のために、前の俺の真似をしてもいい。 笑って』 『12月6日 今日も呼び出してくれた。 今日は遅刻してない。 逆に待たされて凍えた。 昨日、こんなふうに奈々が凍えていたと思うと、もう遅刻できない。 クリスマスのイルミネーション見に行った。 寒くて震えていたら、背中から抱きしめてくれた。 笑ってくれたその顔、うれしい。 好きだと言って…って。 かわいい。 けど、好きって言ったら泣いた。 里英がいるから? 俺を奈々だけの彼氏にすればいいのに。 俺はずっとこのまま、奈々を好きでいる』 イルミネーション…。 俺の記憶、知らないはずのイルミネーションが浮かぶ。 あぁ。覚えてる。 確かこの日、泣くからキスしたら叩かれたんだっけ。 勝手にキスすんなって。 俺はそれを思い出して、ちょっと笑った。 俺じゃない、俺の記憶なのに。 楽しかったって…思った。
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