【True blue】 #2

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【True blue】 #2

眠れなかった。 何度も千夏に電話をかけようとして、寝ているだろうとかけられなくて。 話す内容もないのに声が聞きたくて仕方がなかった。 朝には出発。 メンバーののんきな顔を見ると、少しだけ安らいで移動中に眠れた。 ライブが終わった夜には千夏から電話があると思っていたのに電話はこなかった。 どうだった?と聞いてくるはずなのに。 携帯を手にしたまま、また不安になる。 自分からかければいいのにかけられなくて。 最終日、くるとも聞いていない。 どうにもできないままツアーの日々は過ぎていく。 「がんばって。ハルちゃんなら大丈夫だよ。最終日、最前列で待ってる」 俺の中には確かにそう言ってくれる千夏の声があるのに聞いていない。 千夏はまだ高校生で学校あるけど、一緒にツアーにいこうと誘えばよかった。 あいつはメンバー。 ミキも反対はできない。 「ちなっちゃん、どうだって?来てくれるんだろ?」 メンバーに声をかけられて俺は不機嫌になる。 「電話かかってこねぇ」 不機嫌になった理由を言ってやる。 「またケンカでもしたのか?謝れば?」 ケンカもしていないし、俺が悪いことしたように言ってくれる。 いや、大抵、俺が千夏の機嫌を損ねてケンカするんだけど。 しかもしょうもないこと。 女関係はもう千夏には知られまくっているし、そこにとやかく言われない。 いつかを千夏はずっと待ってる。 もう…3年以上。 そろそろやばいのかもしれない。 「Dualに飽きて他のバンド追いかけてるのかな。なかなかちなっちゃんと絡めなくなったし…」 「ハルが呼べばくるだろ。チケットくらい送っておけよ?金払わせる間柄でもないし。バックパスも一緒にな?ちなっちゃんと絡みたいし」 絡む絡むうるさい。 あいつが惚れてるのは俺で、あいつが絡みたいのは俺。 おまえらは俺がかまってやっていない間のついでだ。 なんて思うのに。 不安になってる俺。 あいつがいなくなったときのことなんて考えられない。 チケットを家に送りつけた。 誰から送られてきたのかなんて聞かなくてもわかるだろうと名無しで。 なぁ?なんで電話こない? …あの夜…、見られていた? 浮かぶのは泣きそうな千夏の顔。 泣くな。 どうせ遊びなんだよ、あんなもの。 自分に言い訳してる。
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