【True blue】 #2

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「…どこいくの?」 「とりあえずシャワー浴びれるところ」 「っ!?」 千夏は俺から飛び離れて身をかばう。 以前の千夏なら、あぁ俺の家かと細かく言わなくても理解しただろう。 そしてその態度は見たことある気がする。 「……あのなぁ。千夏を食うためじゃないし。汗だくだから、さっさと着替えたいだけ」 「だったら、あの会場で着替えてくればいいのに…」 「おまえ、俺の予想通りに楽屋来ないで逃げていたくせに。…最初の頃と行動パターン同じ。こうでもしないと、記憶なくしたおまえに会う方法もないし」 楽屋にくることなく逃げるのが行動パターン同じというわけではなく。 最初の頃、ちょっとからかうようにエロ見せたら、こんなんだったよなと思いだした。 期待させるだけさせて、俺がはずすのを覚えて最近は通じなくなっていたけど。 まっすぐに俺は自分の家。 当たり前のように千夏を家に入れて、汗だくの衣装を脱ぎ散らかして、まっすぐにシャワー。 千夏に素っ裸見られても気にしない。 下着姿ならメジャーデビューする前に楽屋で着替えているときに毎度のように見られている。 シャワーからあがると、なぜか服が用意されていた。 以前も千夏は俺のクローゼットを漁って、俺がシャワーを浴びている間に置いてくれていた。 洗濯物してもらっているし、日用品の補充もしてもらっているし、どこに何があるか把握している。 …覚えている? 着替えて髪を拭いながら千夏のところにいく。 脱ぎ散らかした服も片付けられている。 「千夏、あれは?あれ」 「あれってなに?」 「だからー、俺が風呂あがりにいつも…」 なんて試してみると、千夏はキッチンにいって冷蔵庫を開ける。 覚えていやがる。 俺のことは忘れているくせに。 「ポカリだよね?ツアーいっていたからないみたい」 「俺のこと忘れてるのに、そういうことだけは覚えてるのな」 俺が思うことは千夏も思ったみたいだ。 軽い記憶喪失なんだろう。 事故ったみたいだけど、外傷もなくて元気なものだ。 いつかは思い出すのかもしれない。 それでも今は俺との記憶をすべて失っている。 「…感覚はつきあっていた頃のままだけど…、俺とやり直すつもりない?」 「……本当につきあってた…?」 疑ってくれる。 かすかな記憶があるのか謎だ。 つきあってない…けど。 俺は嘘をつくりあげる。 以前に千夏が俺に望んでいたものを教えるように。
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