信長のダチ

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   後を追ってきた信長も、屋敷を目にすると手を叩き喜ぶ。長秀は、子どものように目を輝かせる信長を見ると更に笑みを深めた。 「順調に普請は進んでいるようだな、五郎左。今日の仕事を終えたら屋敷まで来い。褒美をやろう」 「褒美など、とんでもない。しかし屋敷には参りましょう。万が一不便な所がありましたら、すぐに直しますので」 「そんな心配はしておらぬ。お前と、お前の選んだ人間がこしらえた屋敷だ。万が一の不備もあるまい」  信長は高笑いしながら、屋敷の中へ入っていく。それを見送ると、秀吉は大きな溜め息を吐いた。 「ふうー、まったく寿命が五年は縮んだわい。信長様のやる事は、ほんに読めんの」 「秀吉殿は皆を心配して足を運んで下さったのですね。ありがとうございます」 「いやなに、無用の心配じゃったぞ。まさかこんな屋敷が建っているとは思わんかった」  まるで信長が来る事を知っていたかのような行動に、秀吉は感心し頷く。長秀は与えられた領地こそさほど広くないが、信長が少年であった頃から仕える重臣である。織田の気風とは少し違って野心は感じられないが、重臣に相応しい視野は確かに備えていた。  
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