第一幕

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「じゃあ、日時を決めて後は追々にやっていけばいいですね?」 「ええ、あと強いて言うならば親戚の皆さんに連絡を1つ入れておけばスムーズになります」 家から出て数分の檀家の寺へ行き、今日の目的を終える。 「また、何か分からないことがあったら聞きに来てください」 「いつもありがとうございます」 昔からの顔馴染みというのもあり世間話も交えていたので、すっかり昼も超えていた。 お茶菓子が出されたので幸いにも空腹は免れた。 「そうだ、もう1個聞いても良いですか?」 「なんでしょう?」 「坊さん、死神っているのか?」 「死神…ですか。仏教において死にまつわる魔として『死魔』があります。これは人間を死にたくさせる魔物となり、これに憑かれると衝動的に自殺したくなるなどといわれ、死神と説明されることがあります。また、別の説で冥界の王とされる閻魔や、その下にいる牛頭馬頭などの鬼も死魔に属されますね」 ふと気になって質問すると、向こうも真剣に答えて余計分からなくなってしまった。 「…そうですか」 「それがどうかしました?」 「いや、何でもないです。では、そろそろ帰ります」 丁寧に教えてくれた坊さんに頭を下げて寺を出る。 「それにしても暑いな~」 自転車に乗り、来た道を戻る。 風は温く、纏わり付くような風速、天気に至っては晴れとも曇りとも言えない様子。こんな様子だと折角のサイクリングも気晴らしにならない。
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