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「じゃあ、日時を決めて後は追々にやっていけばいいですね?」
「ええ、あと強いて言うならば親戚の皆さんに連絡を1つ入れておけばスムーズになります」
家から出て数分の檀家の寺へ行き、今日の目的を終える。
「また、何か分からないことがあったら聞きに来てください」
「いつもありがとうございます」
昔からの顔馴染みというのもあり世間話も交えていたので、すっかり昼も超えていた。
お茶菓子が出されたので幸いにも空腹は免れた。
「そうだ、もう1個聞いても良いですか?」
「なんでしょう?」
「坊さん、死神っているのか?」
「死神…ですか。仏教において死にまつわる魔として『死魔』があります。これは人間を死にたくさせる魔物となり、これに憑かれると衝動的に自殺したくなるなどといわれ、死神と説明されることがあります。また、別の説で冥界の王とされる閻魔や、その下にいる牛頭馬頭などの鬼も死魔に属されますね」
ふと気になって質問すると、向こうも真剣に答えて余計分からなくなってしまった。
「…そうですか」
「それがどうかしました?」
「いや、何でもないです。では、そろそろ帰ります」
丁寧に教えてくれた坊さんに頭を下げて寺を出る。
「それにしても暑いな~」
自転車に乗り、来た道を戻る。
風は温く、纏わり付くような風速、天気に至っては晴れとも曇りとも言えない様子。こんな様子だと折角のサイクリングも気晴らしにならない。
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