第一幕

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地震後すぐ食糧確保にコンビニに行ったが、全員が全員駆け込みを起こして遠慮ない我が身優先な状況…あのシーンは人間の根を見ているようで軽いトラウマになった。 それから、2日3日は揺れや災害注意報を聞きながら過ごす。1週間もすればガス水道が復旧したので家の中の片付けを始めた。 「どんどん古いものは捨てていこう」 母が珍しく、意気込んで片付け始める。 「何も勢いよく捨てなくてもいいんじゃ?」 母にも愛着あるものがあるだろうに心配して聞くが… 「いいの、いいの。必要最低限だけあれば!」 そういって地震の影響で倒れた古い写真の詰まったアルバムの棚も中身のアルバムだけ取り二人で分解した。 …ガラス戸が割れていただけだから十分使えるのに。 それからも家の中を掃除しながら2週間が経過する。 「ほら、こんだけ広くなった!」 「おぉ~!」 我が家は先祖代々この家で過ごしてきたので自然と古い物も溜まっていた。 地震を機に2人で片付けてようやく一段落し母と俺は驚いた。我が家は見違えるほど広くなる。 「これで、あんたの好きな物も置けるね」 そんなに物ありませんって…あっ、でも… 「パソコン置いていいかな?」 1人暮らし時代は使っていたが実家に帰ってきてから置く場所も使う用事も無くなっていたのでしまっておいたが、このタイミングは丁度いい。 それに今時はネットが主流だしね。
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