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◇◆◇
「…はぁ、 最高だよ俺のラマン」
艶めいたため息と共に吐き出された台詞に銀瑤は沈黙を返した。
時は夕刻に差し掛かる時分で処は東の皇国 宿禰家本邸。
そこの嫡男たる銀瑤の自室だ。
桐で誂えられた文机に書を開いて読み耽っている銀瑤の背後で、尻尾に抱きついているのはイーグル フロウ。
南の共和国で知り合った友人だ。
久しぶりに逢ったので先頃宿禰家の別邸にて開催された肝試し大会の後、他の友人たちはそれぞれ自国へと帰国したが積もる話もあるし、とイーグルが暫く宿禰家本邸へと滞在することになった。
というかこの男は先ほどから何をほざいているのか。
すりすりと尻尾に頬擦りしながら愛を囁いているイーグルに銀瑤はうっかり手にしている書を破りたい衝動に駆られる。
「…いい加減にしてくれませんかね イーグル殿」
「俺がどれだけ我慢したと思ってるの?銀瑤!ラマンに包まれるために似たような感触を求めてあちこち探したけど…皆俺を満たしてはくれなかったんだ…俺とラマン(尻尾)の触れ合いを邪魔しないでくれ」
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