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「あの…星咲さん……」
マリ子は、静かに口を開いた。
「はい?何でしょう」
「…『本物の目黒さん』は…どこですか?」
「…え?」
星咲は、マリ子の質問の意味が分からないと、いった表情で聞き返した。
「とぼけないで…」
マリ子は…ここで大きく息を吸うと、
「あなた達!目黒明さんを一体、どこにやったのよ!!!」
と、大声を上げた。
「お、奥さん…何を言ってるんですか」
星咲はマリ子の勢いに、どぎまぎした様子だ。
頼子は…と言うと、
二人の間で『きょとん』とした表情をしている。
「め、目黒って名前の警備員なら、さっき奥さんも会ったじゃないですか…」
マリ子は、星咲のその言葉を聞き逃さなかった。
「えっ?『さっき会った』ですって??
何で、星咲さんは私とあの眼帯した警備員さんのやり取りの事を知ってるんですか?!
私達の事、ずっと見てたんですか?!」
「あ!い、いや…
それは…
あの眼帯の警備員…
目黒本人から聞きまして……」
明らかに星咲の顔に動揺の色が現れた。
この人は…
『何か』を
隠している………。
マリ子は、確信した。
「私、目黒明さんの知り合いなんです!
今日、ここで警備員として働いてるって聞いたから、彼に会いに来たんです!
そしたら、彼はいなくて
代わりにあの眼帯の警備員さんが『目黒さんの名前をかたっている』じゃないですか!
これは一体、どういう事なんですか?!」
マリ子は、星咲に詰め寄った。
「あ、い、いや…そ、それは………」
もう星咲は、完全に顔面蒼白で声は微かに震えている。
「答えて下さい!!『本物の目黒さん』は一体、どこなんですか?!」
更にマリ子は、星咲に詰め寄った。
と、
その時…
いきなり、
マリ子は
地面が、
『ぐらり』と揺れる様な
『妙な感覚』を覚えた。
と、同時に
娘の頼子が
恐怖に満ちた、
けたたましい悲鳴を上げた。
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