8【陣中見舞】

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{2} やがて… 「あ!あそこに立ってる人がそうだよ!」 と、頼子は一人の警備員を指さした。 「こんにちは!目黒さん!約束通り陣中見舞に…」 とマリ子は、その警備員に声をかけようとして… 言葉を飲み込んだ。 そこに立っていたのは… 確かに左目に眼帯は、しているが… あの長身でスラッとした目黒青年とは全く似ても似つかない、 ずんぐりとした年配の男性警備員だったのだ! 確かに… 『オジチャン』と呼ばれても… 全然おかしくない年齢…。 「お!さっきのお嬢ちゃんじゃないか」 と、その年配警備員は頼子に気付き笑顔で声をかけてきた。 「オジチャン!さっきは、どうもありがとう!」 「いやいや、何の何の!」 「あの!この子の母です!先程は娘が大変お世話になったそうで、本当にありがとうございました!」 マリ子は年配警備員に頭を下げた。 「いえいえ。かわいくて良いお嬢さんですなぁ」 年配警備員も笑顔でマリ子に会釈をした。 「それで実は…ですね。 私、ここの警備員の目黒さんの知人の者なんですが…。 彼が立っている場所って分かりますでしょうか」 「…え?」 と… その年配警備員は少し眉を寄せながら… こう、答えた。 「目黒は…私ですが……」
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