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やがて…
「あ!あそこに立ってる人がそうだよ!」
と、頼子は一人の警備員を指さした。
「こんにちは!目黒さん!約束通り陣中見舞に…」
とマリ子は、その警備員に声をかけようとして…
言葉を飲み込んだ。
そこに立っていたのは…
確かに左目に眼帯は、しているが…
あの長身でスラッとした目黒青年とは全く似ても似つかない、
ずんぐりとした年配の男性警備員だったのだ!
確かに…
『オジチャン』と呼ばれても…
全然おかしくない年齢…。
「お!さっきのお嬢ちゃんじゃないか」
と、その年配警備員は頼子に気付き笑顔で声をかけてきた。
「オジチャン!さっきは、どうもありがとう!」
「いやいや、何の何の!」
「あの!この子の母です!先程は娘が大変お世話になったそうで、本当にありがとうございました!」
マリ子は年配警備員に頭を下げた。
「いえいえ。かわいくて良いお嬢さんですなぁ」
年配警備員も笑顔でマリ子に会釈をした。
「それで実は…ですね。
私、ここの警備員の目黒さんの知人の者なんですが…。
彼が立っている場所って分かりますでしょうか」
「…え?」
と…
その年配警備員は少し眉を寄せながら…
こう、答えた。
「目黒は…私ですが……」
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