~第一部【起】~

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むかしむかし…。 大陸のある村に 正直者の漁師が住んでいました。 ある年の事。 魚が全然捕れずに 漁師が困っていると、 そこに海の神様が現れて 「あなたは正直者だからこれをあげよう」 と、ある弦楽器を漁師に授けました。 その楽器は 捕れた魚の前で弾くと、 どんな小さな魚も 何倍にも大きな魚になるという 魔法の力を持っていたのです。 正直者の漁師は、 その楽器を弾いて 大きくなった魚を売って 大金持ちになりました。 それを見ていた 隣村の欲張りな漁師は、 正直者の漁師を殺して その楽器を手に入れました。 そして、 自分が捕った魚の前で 楽器を弾きましたが、 魚は大きくなりません。 それどころか、 その楽器の音を聞いた 漁師の家族が、 みんな大きな魚の姿に 変わってしまいました。 欲張りな漁師は、 あまりの事に気が狂ってしまい、 魚の姿になった家族を みんな食い殺してしまいました。 そして、自分は 海に身を投げて 死んでしまいました。 ~アジア圏のある国の民話より~
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