12【消えた男】

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腕時計を見ると… 時刻は、もう夕方の四時…。 マリ子は三時間以上、眠っていた事になる……。 「あ、二時からのビンゴゲーム大会行けなかった…。ごめんね。頼子」 「そんなの別に良いの…」 「いや。娘さんから聞きましたよ。夜間、お仕事されてるそうで。夜は仕事で昼間は家事って大変ですよね。 しかも、お一人で娘さんを育ててるんですって?きっと、疲れていたんですよ」 年配警備員が優しい口調で言った。 きっと、そうなのだろう…。 最近は、昼間もろくに寝ていない気がする…。 「実は、私も昨夜は夜勤で今日も継続して日勤なんですよ。 いやぁ、この歳だとコタえますな」 年配警備員が頭をかきながら笑った。 「そうなんですか。大変なんですね」 「いえいえ…」 さて… 今日は、いろいろ有ったけど、もう買い物して家に帰ろう……。 マリ子は、ぼんやりと思った。 でも… 結局、あの…よくスナックに来ていた『目黒って名乗っていた青年』は、 一体、何者だったのだろう…。 島の人間だったのか、 それとも、もしかして旅行者だったのか…。 『目黒』って名前も、果たして本名だったのだろうか…。 ルーク・ショッピングセンターで警備員をしているって話も… 口から出まかせだったのだろうか…。 でも…何のために? まあ… 良いか………。 マリ子は、少し疲れ気味だった。 恐らく、 さっきのイベント広場で見た『目玉』も… 本当にマグロの目玉だったのだろう…。 きっと、鮮度か何かの関係で、たまたま瞳の色が緑色に変色したマグロの目玉を見て、 私が勝手に『変な想像』をしてしまっただけなんだわ…。 マリ子は、そう思う事にした。 さて…。 家に帰って… 今夜もスナックを開店させて頑張ろう…。 いや…。 それとも…。 マリ子は考えた。 今日は、頼子にも心配かけてしまったし… 今夜は、お店を『臨時休業』にして… たまには頼子と一緒に過ごそうか…。 「どうしようかな…」 マリ子は迷った。 今夜は、お店を『臨時休業』にして頼子と一緒に過ごそうか…。 いや。仕事は仕事。 いつも通り、お店を開店させて頑張ろうか…。
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