14【島の歴史】

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14【島の歴史】

{1} 『まず、これから述べる事柄についてだが、 あくまで私、小田少左衛門が歓楽島で発見した古い文献と私自身の推論、推測を交えた物である。 今では、映像や音として正確な歴史の記録を残す事ができるが、 太古の昔から中世までの歴史というのは、 あくまで誰かが記述し、残した記録文献、あるいは出土した数々の発掘物等から我々が推論を立て推し量るしか、手だては無い。 だから、『果たしてどこまでが本当に有った真実の歴史なのかどうか』は 現代の我々には、誰にも分からないのかもしれない。 歴史には、『表の歴史』と『裏の歴史』が有ると言う者がいるが、 それはそういった事を言っているのだと思う。 これから、ここで述べる歓楽島の歴史は、 まさにその『裏の歴史』と言って良いだろう。 一般的に世間に知られている島の歴史、つまり『表の歴史』とは大きく異なるからである。 さて。 歓楽島の成り立ちについて、以下の様な神話が有るのをご存知だろうか。 まだ『この世の中』が出来る前、歓楽島は神々が乗る船だった。 神々はその船に乗り、あちこちへと行き、陸地を創造してまわった。 そして、あらかたの陸地が出来上がった所で船が不要になり、今の日本海沖に錨(いかり)を下ろし陸地に上がった。 その船には、そのまま長い年月を経てゆっくりと海底の海藻が絡み付き、 その海藻の周りに土砂が積もり、遂には船は海底と繋がり今の歓楽島になった。 と、いう神話だ。 古事記や日本書紀に記載が有る日本の神々が登場する神話に類似する物であるが、 もし仮に、 この神話が『実は、実際の自然現象によって起こった事実』と仮定したらどうだろうか。 例えば、太古の昔。 火山の噴火や大地震によって陸地の一部が大陸から切り離され、 巨大な『浮き島』となり 海流に乗って、ゆっくりと時間をかけ地球上を『漂流』していたとしたら。 (あたかも『神々が乗る船』の様に) そして、その『浮き島』が現在の歓楽島の所在海域に漂流して来た時に、 『神話』の様に海藻が絡まり、その海藻の周りに土砂が降り積もり、遂には海底と繋がってしまい今の歓楽島になったのだとしたら。
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