序【人体実験】

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そして… それから…数時間後の事………。 『……………ハッ!!』 男は… 目を覚ました。 『……………』 視界がぼやけて 今、自分がどこにいるのかよく分からない…。 しかし… やがて、カメラのピントが合うかの如く、徐々に像を結んでいく…。 青い空…。 波の音が聞こえる…。 どうやら… 自分は海辺にいて、 地面に横たわっているらしい…。 頭が…ズキズキする……。 『一体…何が…有ったんだ?どうして、横になってるんだ?』 とにかく、男はその場に起き上がろうとした。 しかし… 『かっ!体の自由が利かないっ!』 その時になって初めて、 自分の両手両足が太く頑丈な縄の様な物できつく縛られていて、 口には『サルグツワ』が、かませられている事に気付いた。 『な、何で?!どうして?!』 声を出そうにも… 「うぅ!うぅ!」 と、呻く(うめく)事しかできない。 男は思い出した。 『確か…いきなり、道で背後から頭を殴られて…』 と… 「気が付いたね」 頭上から声がした。 体を折り曲げて、その方向を見ると… 一人の少年が男を見下ろしていた。 顔は全くの無表情。 ただ、その顔つきは少年なのだが、体つきは大人と変わらないくらいに『大がら』だ。 『お、お前っ誰だ?! もしかして、この少年が俺を殴って縛ったのか?こんな子供が?』 少年に必死に問いただそうとしても「うぅ!うぅ!」 と、呻き声が辺りに漏れるばかり。 「いくら、呻いてもここには誰も来ないよ」 無表情のままで少年は言う。 「何で、僕がおじさんをこんな風にしたかと言うと… ある『実験』をするためなんだ」 『じ、実験だって?!』 よく見ると… 少年は、両手に何かを持っていた…。 左手には、 何か『弦楽器』の様な物を持っており、 右手には、 その楽器を弾く『弓』の様な物を持っていた。 『…そ、その楽器は?!』 「それでは…実験開始…」 その時になって初めて… 少年は、ニヤリと不気味な微笑みを浮かべた。 やがて… 何とも美しい音色が… 辺りに響き始めた………。
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