第5章

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夏休みが近づいてくると、 同時に俺の宿敵もやってくる。 心はもう夏休みモードだというのに、 そいつはそれを許そうとしないのだ。 無事夏休みを迎えるための、 大きな壁。 そう、期末テストだ。 「なあー、もう嫌だー! なにテストって!食べれんのおいしいの! なあ!俊介ー!」 子供のように駄々をこねる俺を 俊介は呆れた顔でみている。 「何度も言うけどさ、 ここ図書館なんだけど。 静かにできないわけ。」 そう冷たく吐き捨てると、 俊介はまたブツブツ言いながら 暗記カードを見つめる。 ここは、高校の近所にある図書館である。 俺たちは今、窓際の四角いテーブルに 向かい合うように座って勉強している。 勉強を初めて30分。 俺の集中力は力尽きた。
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