1話

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わいの名前は糸時狐一。 2つ年上の兄貴、糸時狐太の弟やけど、兄貴は数年前に起こった大量突然死の犠牲者になって逝ってもうた… 兄貴、辛い人生送っていいこと一つも起きないまま死んでもうたな… まあ、わいも今まで生きとっていいことなんて一つもないわ。 この狐顔と糸目で、子供ん時から、狐野郎とかお稲荷さんとか、狐うどんとか呼ばれとって、中学生の時にいじめられ、高校生の時もいじめられパシりにされ、それが耐えきれんくて中退して、アルバイトし始めたけど、バイト仲間にいじめられたり、仕事するのがとろくさいとか言われクビにされたり…そうやって職を転々としとった。 そして親にも、正社員につけとか早く結婚しろとか毎日毎日ガミガミ言われ続けて、もう働くのも仕事見つけんのも嫌になって耐えきれんくて、家出して、ナマポ受けようと思て、今ある区役所の保護課に行って対応した職員と話しとるところや。
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