第1章~ 何度、偶然を装って声を掛けようと思ったか。

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バイト先のスターバックスのスタッフルームをでて、店の中をドアに向かって歩く 夜もふけて少し空いてきたこの郊外のスタバ ふと窓側の長机席を見ると、見慣れた青色のリュックと、後ろ姿が見えた 「……あれ?……涼!」 「あ、陽花じゃん!バイトだったの?」 それは学業においても、生徒会においても、よきパートナーの涼だった 机の上には授業でつかわれている数学の問題集が広げられていて、傍らには飲みかけのチョコレートチップキャラメルフラペチーノ 「うん、そう。……あ、21時までバイトだったっていうのは、内緒の方向で……」 「あははっ……オッケーオッケー。」 初等部から高等部まで全校生徒2400人を束ねる生徒会長としていつも立派な涼は、真面目で完璧なように見えるが以外と普通の男子だ なんでもそつなくこなすように見えて、実は影でものすごく努力し、悩んでいるのを私は知っている 一緒に勉強したり、生徒会の仕事をしたり、同じ中学校教師が将来の夢なだけあって進路活動も一緒だし、他愛のない会話をするなかで時にはふざけあったりもする 好きなものも嫌いなものも、お互いのことは初等部から一緒だっただけあって、よく知っているように思う
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