第1章~ 何度、偶然を装って声を掛けようと思ったか。

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住宅地の中心にある、広々とした芝生の公園 その芝生が生えている場所をさけ、2人は斜面を登る 傍らにある丘の上に、2人は立って空を見上げた 公園の周りに植えられた木でさえ、それなりの高さのあるこの丘の上からは邪魔にはならない 高い建物も何一つないこの住宅地の真ん中だからこそ、この丘からは一面の広々した空が見えた 「ここ、お気に入りなんだよね。都会なのに星が綺麗に一面に広がってる。……涼は知ってた?」 「……知らない。……公園には、入ったことないから……」 涼は外で行われる時の体育の授業はいつも見学している それは、別にさぼっているわけではなくて、涼が草アレルギーを持っているからだ だから涼はずっと、芝生が青々としている公園なんて場所には縁がない 「……綺麗だね。ここでこんな景色が見れるなんて、思わなかった……」 「……今日は、それだけじゃないよ。」 丘に登ってからずっと空を見上げていた涼が、その言葉を聞いてやっと陽花を見た 横にある、その驚いたような涼の顔に陽花が空から視線を戻したかと思うと、また空にその目を向ける 少し待ってみたが、陽花は何も言うつもりはないようだ 黙って見ててとでも言うように、ずっと空を見ている わけがわからないまま、涼はつられて再び空を見た
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