2人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
住宅地の中心にある、広々とした芝生の公園
その芝生が生えている場所をさけ、2人は斜面を登る
傍らにある丘の上に、2人は立って空を見上げた
公園の周りに植えられた木でさえ、それなりの高さのあるこの丘の上からは邪魔にはならない
高い建物も何一つないこの住宅地の真ん中だからこそ、この丘からは一面の広々した空が見えた
「ここ、お気に入りなんだよね。都会なのに星が綺麗に一面に広がってる。……涼は知ってた?」
「……知らない。……公園には、入ったことないから……」
涼は外で行われる時の体育の授業はいつも見学している
それは、別にさぼっているわけではなくて、涼が草アレルギーを持っているからだ
だから涼はずっと、芝生が青々としている公園なんて場所には縁がない
「……綺麗だね。ここでこんな景色が見れるなんて、思わなかった……」
「……今日は、それだけじゃないよ。」
丘に登ってからずっと空を見上げていた涼が、その言葉を聞いてやっと陽花を見た
横にある、その驚いたような涼の顔に陽花が空から視線を戻したかと思うと、また空にその目を向ける
少し待ってみたが、陽花は何も言うつもりはないようだ
黙って見ててとでも言うように、ずっと空を見ている
わけがわからないまま、涼はつられて再び空を見た
最初のコメントを投稿しよう!