第60話 知人

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それだけのことをしても時間が戻る訳じゃない。二人がまた笑顔で迎えてくれる訳じゃないのに…… アッシュ「でもね、今はアリス達といると……安心する…… 僕の事を話したいけどこの事、話して嫌われたらどうしよって、見捨てられたらどうしよって…… そんな考えしかないんだ……っ」 泣きそうな声音を震えながら自分の手に爪が食い込むくらい握る。そこから血がポタリと垂れた あの時、血塗れでアリスに会い、そして助けてもらった。仲間として迎えてもらった直後は僕の方から突き放すような態度しかとらなかった 今じゃないけど、そのせいか彼女にもちゃんと話してないことが多い。 時間が流れていくほど話しにくくなってしまった…… 見捨てられてしまうのが、嫌われるのが怖いから アッシュ「……ごめん……マカオ……。こんな話して……」 マカオ「いいわよ、私も聞いておきたかったから」 アッシュ「……僕はもう寝ようかな…… おやすみ……」 ″おやすみ″と言い返す。 そんな二人の話をエドは廊下で黙って聞いていた トイレに行っていたが入るタイミングを逃して立ち聞きしてしまっていた エド「(……あんなアッシュ、初めて見たな……)」 アッシュがあんなにも思い詰めていたとは知らなかった……。 いつも笑っていたから 弱いところを見せなかったから 何故、悲しみを話さないのか、その理由を知人であるマカオがいてようやくわかった でもこの話を聞いたら我々が嫌う? そんなことはあるはずがない…… ……いや、そう言っていたら……逆に嘘と思われてしまうのだろうか……? わからない、一体私達はあいつとどう向き合うのが正しいのか……
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