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「おはようございます!」
俺は再び以前働いていた会社のドアを開けた。
懐かしさのある出勤光景。何か少しだけ高揚感とも緊張とも違う、小恥ずかしさみたいなものが顔の表情から取れない。
(ザワ…ザワザワ……)
俺がこの会社に戻ることは一部の幹部にしか伝えられておらず、歓迎ムードというより、
(誰?この人??)
的雰囲気。
「お久しぶりです上原さん、元気でしたか!」
「オー!頑張ってたか?」
と、数人は知ってる人間もいるものの、ほとんどは初対面の連中ばかり。
無理もない…。夜の世界の2年間の移り変わりはとても早く、会社内の人間模様は以前と大きく変わっていた。
俺と一緒にこの会社に移った平沢と堤も少しギクシャクしたムードと挨拶。堤という奴はシルクに入店してきた男で、閉店までの半年間を一緒に働いた。人間的キャラがおもしろい奴で、シルクが水商売経験初の23歳。ぽっちゃり体型で女と酒が大好きという分かりやす性格。バカも出来て、愛嬌たっぷりの憎めない奴。
特に社員全員に対してのかしこまった紹介などはされず、俺たちは今日からここで働く事となったのだが、社長の次のNo.2やNo.3が今誰で、幹部・役職者が誰でどういう人間でどれ程の力を持っているのか?などが全くわからない。
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