第1章 始まり

2/2
前へ
/2ページ
次へ
「おはようございます!」 俺は再び以前働いていた会社のドアを開けた。 懐かしさのある出勤光景。何か少しだけ高揚感とも緊張とも違う、小恥ずかしさみたいなものが顔の表情から取れない。 (ザワ…ザワザワ……) 俺がこの会社に戻ることは一部の幹部にしか伝えられておらず、歓迎ムードというより、 (誰?この人??) 的雰囲気。 「お久しぶりです上原さん、元気でしたか!」 「オー!頑張ってたか?」 と、数人は知ってる人間もいるものの、ほとんどは初対面の連中ばかり。 無理もない…。夜の世界の2年間の移り変わりはとても早く、会社内の人間模様は以前と大きく変わっていた。 俺と一緒にこの会社に移った平沢と堤も少しギクシャクしたムードと挨拶。堤という奴はシルクに入店してきた男で、閉店までの半年間を一緒に働いた。人間的キャラがおもしろい奴で、シルクが水商売経験初の23歳。ぽっちゃり体型で女と酒が大好きという分かりやす性格。バカも出来て、愛嬌たっぷりの憎めない奴。 特に社員全員に対してのかしこまった紹介などはされず、俺たちは今日からここで働く事となったのだが、社長の次のNo.2やNo.3が今誰で、幹部・役職者が誰でどういう人間でどれ程の力を持っているのか?などが全くわからない。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加