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僕とシギが後退すると、久留米警部と岡野警部補は一定の距離を保ちながら前進してくる。
下がっては進み、
進んでは下がる、
まるで息のぴったり合った社交ダンスだ。
然し、かず刑事は僕が部屋から距離を作ってしまった事を良い事に、
「本市さんは警部と警部補がなんとかするから、大丈夫よあなた達」
蛍と櫻子を救出してしまう。
人質二名を救出させてしまった、残るはシギ一人だけだ。どうする? エレベーターを使うにしても電気は通ってないし、階段を使うにしてもここは六階だし……。
「本市さん、観念しなさい、元よりその子を傷付けるつもりは無いんでしょ? それはモデルガンだし」
久留米警部は僕の銃がモデルガンである事を言い当てた。はったりか? 厭、目利きのぐるにゃんの事だ。何か根拠がある筈だ。
「何を根拠に」
「あなたは銃を構えてから一度も撃鉄を起こしていないし、動きに銃の重量感が無かった」
「………!」
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