もしミステリ作家が犯罪者になったら

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 そもそも、僕が何故将来ある女子高生をわざわざ空調も電気も無い廃ビルの六階に監禁したんか。  単刀直入に言えば、お金が絡んでいると言う事じゃが。 仕事で執筆しているミステリ小説の取材の為に警視庁のオフィスを借りて、久留米警部や岡野警部補らと事件を共に追いかけていた。 そんなおり、今泉八雲警視総監から、人質救出訓練を行うと、指令が出た。 それで僕が扮する犯人役と久留米警部率いる捜査チームに別れて訓練をする事になったんじゃが、 僕チームが勝てば夏の旅行の旅費は久留米警部が、負ければ僕がそれを払うと言う密約が交わされたと言うんがことの発端。 シギ、蛍、櫻子の三名は、僕が講師をする小説講座の受講生で、 講義の課外授業にどうかと誘った所、快諾してくれたのだ。  「三人共、警察への対処は覚えちょるかな?」  僕も伊達に警察や犯罪を調査したり、取材した訳では無い。三人には警察の逮捕術に対抗して警察への対処術を指南してある。  「私達は問題ないですが、ほんちーオジサマは?」  問題無しか、頼もしい事だ。流石は本市ガールズ。  「僕? 僕はこれを使うよ」  スーツの内側に忍ばせたベレッタを取り出して、銃創を装填する。 尤もこいつを使うのは最終手段だが。
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