もしミステリ作家が犯罪者になったら

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 銃の扱いを覚えるのに大分お金を費やしてしまったが、お陰でマスターする事は出来た。 実際に発砲するのは初めてじゃが、ふむ、拳銃が登場するハードボイルドを執筆する時の参考になりそうだ。  「ホンノンさん、それ、本物?」  シギは僕のベレッタをまじまじと見つめながら訊いて来た。  「どうかな」  「銃刀法違反です、ほんちーオジサマ。ついでに撃ったら、傷害罪が殺人罪がつきますよ、唯でさえスピード違反と道路交通法違反の余罪があるのに」  何事も無ければ発砲する積もりは無いよ蛍。 アンバーアラート(児童誘拐)警報が出てから、久留米警部のパトカーから猛スピードで此処まで車を飛ばして逃げて来たし、 バックしながらの蛇行運転で散々挑発もしたから当然か……。  「心配しんさんな。確率は三分の一じゃけ」  「絶望的な確率じゃないですか、市さん」  櫻子は心配そうな顔で僕に突っ込みを入れる。 大丈夫よね、トイザラスで購入したモデルガンじゃし、中はBB弾しか装填されとらんよ。 それでもゲームセンターでみっちり射撃の練習をして馬族撃ち――発砲の際の反動を抑える為、銃を水平にして撃つ構え――をマスターしている。 射撃の腕前は久留米警部らと互角と言った所か。 車の運転も免許が無いのでレースゲームで事故を起こしあげてやっとマスターした。
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