第1章

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ピリ。 袋を開けて、中から紙切れを取り出す。 自然と胸がドキドキして来て、俺はもったい付けながらその紙切れをじっと見つめた。 「当たるかな」 「真司。こいつの運の無さはお墨付きだぞ」 「そう言う鷹雄だって、あんま運良くねーよな?」 「うるせえよ、圭介」 ギャラリーがわいわい言い合ってる間、俺は心の中で一つの言葉を思い描いていた。 当たれ 当たれ、 当たれ!! 「そりゃ!!」 バッと開けた白い紙には、黒いインクで『おめっとさん』と書いてあった。 「当たりだぁぁあーーーーーー!!!」 おめっとさんの文字に、一瞬ピンと来なかったが。 それが当たりくじだと分かると、俺は思い切りその場に跳び上がった。 大袈裟だって思われてもいい。 だって、当たったんだぞ? 俺が!! 「おー、当たりかよ。人生における全ての運を、使い果たしちまったんじゃねぇの?」 「うるせぇ、圭介! 水をさすな!」 圭介を睨んだ後、再び当たりくじみ見る。 間違いない。 当たり…当たり! 今日の俺は、ツイてる!! 込み上げてくる笑いを堪えながら、ゆっくりと腰を下ろした。 と。 「………お前、可愛いなぁ」 ……………………ん? いつの間にか側に寄っていた広田が、俺の後頭部をつかむとそのままキスをした。
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