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別に、キスをするのが嫌なわけじゃない。
ていうか。
う…嬉しいし、うん。
けれど、こんな風に人前でされるのは、正直本気で勘弁して欲しい。
ただでさえ赤面症の俺なのに、誰かに見られながらのキスは、もはや罰ゲームみたいなもんだ。
熱いぐらいに顔が赤く染まり、混乱はするし涙は出そうになるしで。
本当に。
嫌だ。
どうせなら、他に誰もいない密室でやればいいのに。
と思うが、それはそれで、都合が悪い。
だって。
密室なんて、一体誰が広田を正気に戻してくれる?
俺は、無理。
自分の中でいっぱいいっぱいだし。
そうなったらもう、行き着く所まで行っちまうだろ?
それが、まだ。
怖い。
広田と一線を越える勇気が、まだない。
そんな俺を、広田はよく待ってくれていると思う。
いつかは、なんて。
思ってはいるんだけど、な。
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