第2章

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数分後、色んな意味で何とか落ち着いた俺は、申し訳ない気持ちで広田を見る。 一人切羽詰まって、泣き出して。 よく考えたら、めちゃくちゃ恥ずかしいぞ、俺。 「……恭平」 赤くなった俺の顔を見ながら、広田がまた俺の側に腰を下ろした。 向かい合い、真っ直ぐに目を見て来る姿は、もう見慣れたものだ。 「悪かったな。バイト詰め過ぎて」 「……いや、別に…………」 いいよ、とは言えない。 だってまだ、橋爪さんの事があるし。 あの子絶対に、広田に気があるよな。 「夜のバイト、終わったら迎えに行くから」 「…………は?何言ってんだよ、お前……」 驚いて、広田をマジマジと見つめた。 バイトが終わる時間は、確かほとんどの日が夜の九時まで入っていたはずだ。 それを、迎えに行くだなんてお前。 そりゃあ。 出来るなら、少しの時間でも会いたいけど。 でも、それじゃあ広田への負担が重過ぎる。 「あのな、迎えに来たって駅までの少しの時間しか……」 「俺んちに泊まればいいだろ」 「ーーーーーー」 いや。 それはそれで、問題があります。 「それに、少しの時間でも、会いてぇし」 「ーーーーーー………………」 胸の奥が、ギュッと詰まる。 自分の気持ちを代弁するように言われたそれは、確かに広田の口から出た言葉で。 同じ、気持ちなんだ。 そう感じた瞬間、体中が温かくなった。 「…………じゃあ、俺も迎えに」 「お前はダメ。イイ子で寝てろ」 「はあ!?なんでお前は良くて、俺はダメなんだよ!?」 しかも九時なんて、まだ寝てねぇし!! 甘い言葉を吐いたかと思えば、こうやっていきなり突き放すような事を言う。 本当こいつ、昔からこういうとこ変わんねーな! 腹が立って広田を睨み付けると、呆れたような困ったような顔で、真面目に見返された。 「夜に一人で出歩かせたくねぇ」 「………………」 そう来たか。 もう、顔熱くてヤバい。 ほんと、困るからヤメロ。
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