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辛辣な言い方だったが聞いてくれる気はあるらしい。僕は、急いで笑顔をつくった。
「聞きたいことがあるんです」
「聞きたいこと? ああ、桜様のことですか。それなら社長宅で何の不自由なく生活をしていますよ」
僕は、少し考えこみ首を横に振った。
「桜のことは、乱雑に扱われる存在ではないはずです。二見社長の元にいても安心できます。今は」
「じゃあ、何です」
三枝さんの眉間に皺がよった。僕は少しだけ口ごもると、
「……一哉さんのことです」
ぽつりと言った。
「一哉ですか? 」
三枝さんは、僕の意図がわからないようだった。
「上手く言えないけど」
僕は三枝さんの顔をみながら言葉を一つ一つ選ぶように話した。
「僕は、三枝さんにひどく冷たく扱われて、他人に対して感情を持たない人なのかなって思ってました。だけど、時々僕を二見社長からかばってくれたり、一哉さんのこと気にかけていたでしょう。
その度にどうしてこの人はそんな反応をするんだろうって」
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