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いつの間にか、僕の真横にソファに座っていた一哉さんが口元を綻ばせた。
「ちゃんと今の状況を好転させたいと考えた結果だろう。この資料は俺が預かっておくよ。お前は余り気負いしすぎるな」
真っ先に告げられたのは僕をねぎらう言葉だ。
本当に僕の行動を喜んでくれているのが伝わる。
一哉さんが長い指先でくしゃと僕の頬をつつく。僕は、恥ずかしさを誤魔化すように笑った。
じっと、一哉さんを見上げる。
いつからか、本当にきっかけなんかわからない。
けど優しい所が、好き。
目があって、ゆっくり近づいてくる唇の気配にどう対処するか頭を悩ませる。
そんな時、何となく冴えないため息が聞こえた。
「悪いな」
「一哉さん、どうしたの?」
ため息を溢す一哉さんに僕は手をばたつかせた。
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