最終決着

17/34
前へ
/426ページ
次へ
いつの間にか、僕の真横にソファに座っていた一哉さんが口元を綻ばせた。 「ちゃんと今の状況を好転させたいと考えた結果だろう。この資料は俺が預かっておくよ。お前は余り気負いしすぎるな」 真っ先に告げられたのは僕をねぎらう言葉だ。 本当に僕の行動を喜んでくれているのが伝わる。 一哉さんが長い指先でくしゃと僕の頬をつつく。僕は、恥ずかしさを誤魔化すように笑った。 じっと、一哉さんを見上げる。 いつからか、本当にきっかけなんかわからない。 けど優しい所が、好き。 目があって、ゆっくり近づいてくる唇の気配にどう対処するか頭を悩ませる。 そんな時、何となく冴えないため息が聞こえた。 「悪いな」 「一哉さん、どうしたの?」 ため息を溢す一哉さんに僕は手をばたつかせた。
/426ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2528人が本棚に入れています
本棚に追加