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正面切って向かい合うと一哉さんが明らかなため息を一つ吐いた。
「どういう意味だ? 」
妙に静かな声とは裏腹に一哉さんの黒い瞳に鋭い光が伴っている。僕は一哉さんと視線を合わせたまま止まった。
「なるほど、お前の突破的な言動力には昔から感心するよ。ただ、女の格好をしていないから、優しくしないとなんで結論に結びつくんだ。俺の気持ち疑っているのか?」
低く唸るような声に僕は、首を慌てて横にふった。
「そんな!!
ぼ、僕は……ただ。二見社長に対抗できるように強くしてなきゃいけないって自分に言い聞かせてみるんだけど持続力がないんです。
こんな時、好きな人に甘えるのって男の癖に子供みたいで煩わしいですか」
しりつぼみに消えていく声に一哉さんが神妙な顔をが見事に崩れた。
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