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1月30日、僕は洋服ダンスの奥から黒のスーツを取り出した。まともに革靴を履くのは僕のお父さんが無くなった時以来だ。
履き心地が、悪かった。
でも、今日は僕はきっちり履きたかった。今日は二見社長の会社の株主総会の期日。
玄関をでるとニュースで言っていたように雪になるらしく空気が肌寒かった。
白い息を吐き手で温めながら歩いた。目の前の門のすぐ左側に1台の車が止まっている。
僕が車の中の様子をガラス越しに伺うと助手席のドアが開いた。
「乗れ、優」
「はい」
一哉さんが前に乗り出して笑顔で僕を迎えてくれた。だけど、運転がはじまった瞬間、一哉さんの顔が暗く重苦しい顔に変わっていった。
二見社長と決着をつける。
今日は、修羅場になることに違いなかった。
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