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一哉さんは、マスコミに無関心にエレベーター前で上の階のボタンを押した。
5階に上がると扉が開き、一哉さんが廊下を足早に歩く。僕は後をついて進み、会議室Bと書かれた部屋へと着いた。
中には照明がついていて、息つく暇もなくドアが内側から開いた。
「一哉。やはりここにきたのですか」
一哉さんは返事をしなかった。ただ、黙って三枝さんの顔をみたあとドアの向こうを睨み付けた。
すぐにはわからなかったけど、歩きながら奥に座っていたのが二見社長のせいだとわかった。
「珍しい客だが、何のようだ。今日お前をここ招いたつもりはない」
二見社長は、手にしていた書類をテーブルに強く押しつけ、いぶかしむ顔つきになった。
「は、どの面していう。お前が言ったんだ。桜を計画的に手元において俺と桜の婚約することを公にするってな」
一哉さんは、冷たくいいはなった。
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