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「なるほど、実に平和的な解決策だと思うがね。
先に私から大事なものを奪ったのは他でもない高嶺のほうだ。なんなら、貸した金を君が払うかい、優君」
一哉さんの斜め後ろにいた僕をみて愉しそうに二見社長は笑った。
心底笑う姿に思わず、僕は指先が震えはじめた。
「いい加減にしろ!!」
一哉さんは、二見社長の横柄な言動に苛立ったように言った。
「親父が何を考えてるなんて、どうだっていいんだよ。過去の苦痛を与えられた相手をやり返すのが正義か?
それはただのエゴだ。
あんたにそんな感情を与えられるのは俺や母さんだけで十分だ。
高嶺家や優を巻き込むのなら俺は全力であんたを潰してやる」
一哉さんは、テーブルに片手をつけファイルをとりだした。
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