最終決着

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少し考えこみ、ふと思い出したことを慌てて言った。きっと今なら、三枝さんから情報を得ることができる。 「あの、なんで一哉さんに協力して僕を助けてくれたんです。三枝さんは前に言ってましたよね。一哉さんのお母さんの最後の願いの為に貴方は行動しているって」 三枝さんは、両目を見開く。 「よく覚えていましたね」 三枝さんは僕に微笑み、隣にいた一哉さんにはいたずらを仕掛けるようなめつきになった。 「なんだよ。その目」 一哉さんが、睨むと三枝さんは無視するように何かを思い出したようにくすくす笑った。 「知りたいのなら教えて差し上げます。とびっきりの秘密ですから」 三枝さんが僕の手首を掴んで近づけると一哉さんに聞こえないように耳元でいった。 「姉さんは、二見社長のことで一哉に上手に愛情を注げなかったんです。 だから、一哉が自分の二の舞にならないよう ずっと、一哉が好きな人と一緒に幸せなれることを夢見ていましたよ。それが最後の願いでした」
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