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遊園地だった。
うん。意味が分からないと思う。
大丈夫、俺も意味なんて分ってないから。
「いやぁ、楽しいね!! 禄郎君!! 遊園地に来るのなんて一体何年振りだろう? 十年? 十五年? いや、二十年はないかな!! さすがにそこまで僕も年食ってはいないからね!! ははははは!!」
すっごく楽しそう。
眼前の人物はそれは楽しそうにハンドルを回していた。
なんて言うんだっけ、この回るティーカップの乗り物。
「あの……慎吾さん? 質問していいですか?」
「何だい禄郎君!? 言っとくが柚葉のスリーサイズは僕も知らないからね!! はっはははは!! 柚葉の奴その話になるとすごく怖くてさ!! いやもう本当に、あの時以来僕の中で柚葉に体系の話をするのは一種のタブーと言うかね、もうトラウマでさ、ははは……」
慎吾さん?
勝手に話をふくらませて一人で落ち込むのやめていただけません?
何か、こっちが申し訳ないようなことした気分になっちゃいますから。
と言うか一体何があったんですか……。
「慎吾さん。なんで俺たち遊園地にいるんですか? 真意が全く読めないのですが」
小間井(妹)が抱える地雷原のことはさて置き今一番の疑問を口にした。
その俺の質問と同時にこの遊戯物の使用時間が終ったらしくティーカップの動きが徐々に緩やかになりしばらくすると完全に停止した。
「降りようか」
その慎吾さんの一言に従うように俺もこのアトラクションから降りた。
いやまあ、さっきはああいったけど別に俺は拉致されてこの遊園地にいるわけではないから、ここに至るまでの経緯はきちんとわかってはいるのだが。
だから説明しようと思えばできる。
ヒントは「学校」「放課後」「車」「有無を言わさず」「ヒャッハー!!」である。
うん、それ以上は何も言わない。
「禄郎君。次はあれに乗ろうか」
慎吾さんはそう言いながら指さした。
指さす方向にあったのは観覧車。
観覧車。
うーん、カップルアンケート堂々の一位に輝くであろう乗り物だな。
密室、風景、高所と言う緊迫感。
どれをとっても盛り上がる代物だ。
男女二人と言う条件付きでだけど。
男二人で観覧車……。
「……」
ふむ、逃げた方がいいかな?
「やっぱり嫌かな?」
いや、冗談だよ。
うん、冗談、冗談。
大事なことなので三回言いました。
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