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「一十瀬君は学校どこ校?」
「……あなたが裏切るかもしれないので教えません」
にこやかにそう言う一十瀬君。
「裏切らないよ……多分」
「どうしたら裏切らないかなぁ?」
「えっ……」
どうしたらって……。
「裏切らないよ。本当に。誰にも秘密にする」
「ん~……」
一十瀬君が考え込んでいる。
私を信用してないみたいだ。
私を口封じさせる方法?を考え込んでいるみたい。
「大丈夫。私、口固いから」
「まだ信用できませんけどね。ちょっと真面目にあなたと信頼関係築いた方がいいな」
「えっと……」
私は……どちらかというと一十瀬君に好感を持っているし……信頼だって……してる……。
とはさすがに言い出せず。
「私は共犯者で全然いいよ」
緊張する。
一十瀬君の美貌に。
ときめいてしまう。
お冷やに手を伸ばす。
「!!」
そっと一十瀬君に手に触れられた。
心臓が跳ね上がる。
「何……を……」
「信頼関係。俺に敵意はありません。あなたに好意的ですって示すためです」
一十瀬君が微笑む。
溜め息が出る。
そっちか。
信頼関係を築きたいがための好意的な態度、か……。
「呆れないでくださいよ。僕なりに……信頼関係築きたいんですから……」
「……信頼……してるから……手……離して……」
「あ……はい……」
「あの……メアド交換する?」
「はい!」
信頼関係築けそうって顔してるな……一十瀬君。
私はスマホを取り出し、一十瀬君もスマホを取り出し、メアドを交換し合った。
「えっと……私が疑わしいならいつでも束縛の電話とかしていいよ。疑いが晴れるまで」
「束縛って。そんな事しませんよ」
一十瀬君が大笑いする。
「はい、当店特製ラーメン、お待たせいたしました」
店員さんが私達にラーメンをくれる。
「いただきまぁす」
一十瀬君が朗らかにそう言ってラーメンを食べ始めた。
私も食べ始めた。
温かい……美味しい……。
緊張が解けてく……。
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