序章

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お前さん、知ってるかい? 京にさ、“峠城”ってのがあるだろ? そこのお姫さんがさ、逃げたらしいんだ。なんでもそいつぁ、すげぇ血を持ってるらしくて、その姫さんの血を飲み干せば、巨万の富も権力も、不老不死さえ思いのままなんだとよ。 なぁ、あんた、その姫さんの血、欲しいと思わないかい? おらぁ、思うね。そんな女が本当にこの世に存在するなら……もし目の前にいたなら、おいらなら殺して血を何かに混ぜて美味しく頂いちまう。 それで世界の全てがおいらの思い通りになるなら、めっけもんさ。 だが、人の血を飲んだ時点で、人間はやめちまってるがね……
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