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 地面にどでかいクレーターができている。 「キナさん……これは……?」  ボトルは空のままだ。 「ごくたまにだけどこういうことも、あるんだ」  斬れ味を放棄して、ただ衝撃に特化させた刃の一撃はたしかに棘饅頭を粉砕した。  断末魔の声もあげず、そしてあとかたもなく、消えた。通常は残るべきタマシイまでもが風にとけてしまった。 「目的と手段が一致した個体だよ。なにか未練があって、それを叶えるために悪霊になってまでこの世に留まったものの、いつしか留まること自体が目的になってしまったやつらだ。私がこなごなにして、もうこの世に留まれないと悟ったこいつは自らを悪霊たらしめていたものを手放した」 「それで、どうなったんですか? 彼は、天国にいけるんですか?」  本気で案じているような声で新人くんが問う。それを背中で受けて、私は砕いた笑いを表情にまぶす。 「見ていただろ? あれは消えたんだよ。あれだけ変質していたんだ、タマシイにどれだけ負荷がかかっていたかは及びもつかん。たとえボトルに回収できたとしても霊体で生前の姿を取らせるのは不可能だっただろう」  破片から流れ出たタマシイはすでに散りぢりになっていて、風に紛れて消えいく姿は散り際の花を思い起こさせた。 「ちょっと待ってくださいっ! それって、」  事実は事実だと、私はそれを口にする。 「救えなかった。それだけだ」 「そんな……!」
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